虐殺器官という小説

2010.07.09.Fri.22:18
最近、本は読んだけど感想を書く時間がなかったなぁと小一時間……。

本気でオススメできる本があったので書いてみることにしました。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
(2010/02/10)
伊藤計劃

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虐殺器官というちょっと物騒なタイトルです。
内容としては9.11のテロ以降の今とは少し違う未来の話です。
ジャンルとしてはSFですが、ミリタリー的な要素も多いですね。

主人公が軍の特殊部隊で、暗殺でテロや紛争を解決する部隊に所属しています。
それらの虐殺の影に一人の男がいました。
ジョン・ポールその男をいる所に大量虐殺が起こると……。


ここからは少しネタバレ的な話を。


命の重さと軽さを凄く上手く表現していました。
核兵器や戦争で大量の命が自分の見えないところで失われても人は気にしないといった表現もありました。
何万にもの死者を作り出してきた男が最後の残した言葉が印象的でした。

「うん、わかっているよ……勝手なものだ、大切な人の死体は物に見えないなんて」

人には良心がある、それでも虐殺は起こる。
人の脳には虐殺を司る器官がある。
虐殺の文法を使って良心を少し調整すればたちまち虐殺が起こると……。

その虐殺を起こす理由は
「愛する人々を守るためだ」
多分、これセリフだけ唐突に言われても意味がわかりません。

言い分としては憎しみの矛先が先進国に向かいそうな国を見つける。
貧しさ、悲惨さを他の国にぶつけそうなところを。
そして、その国で虐殺の文法を説くことで憎しみを内部に向けさせる。
国内で戦争が始まることで外にぶつける余裕はなくなる。
結果としてテロは防がれると……。

あぁ……なんか納得しました。
正しくはないけれど、そういう考え方もあるんだなと。

物凄く色々なことを考えされられると同時に、本当に凄い作品だと思いました

惜しむのはすでに作家の伊藤計劃さんはすでにこの世にいないということだ。
会社に勤めながら10日ほどで仕上げたそうです。
この作品が世に出たのは2007年です。
その頃にすでに癌の転移が見つかっていたそうです。
2009年の3月にはもう……まだ34歳だったとか。

もしかしたら、この作品を書いている頃から命を削って何かを残したかったのかもしれません。
他の作品も読んでみようと思います。
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